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After Effectsのスクリプトの技術書を書いた話

After Effectsスクリプトの技術本を、自動化シリーズの著者である古籏一浩さんと一緒に執筆しました。

After Effects自動化サンプルプログラムという本です。

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上下巻で1100ページ以上となかなかのボリュームです。

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AEP Projectには宣伝記事を書いたので、ブログではどんな感じで進めたのかという覚書のようなものを書き残しておこうと思います。

はじまり

遡ること2015年3月、AEのスクリプトの公開数も増えてきて、だんだんと管理するスクリプトもパターン化していました。
そこでいくつかのスクリプトは、GitHubでコードを公開していこうと決めました。
他にも当時、SilveさんのAE技術本(Ability Easing 03)にも参加させていただいた経験から、自分でもスクリプトの技術本が出せないか検討していました。

当時私が考えていたものは、関西AEオフで発表したスクリプト解説を大幅に拡大・拡張したもので、初心者がサンプルを簡単に実行できるまでを解説するようなスクリプト本でした。

そんな時、Twitterで古籏さんからAEスクリプト本の共著というお誘いをいただき、願ってもない形で実現できることになりました。

執筆にあたって

まずしたことは、すでに書いてあるスクリプトの中から技術本に収録して参考になりそうなコードを抽出することでした。

本収録に当たっては何より実用的なものである必要があると考え、抽象化していた短い関数やプロトタイプといったものを中心に、汎用性のあるように書き換えて本用にしました。

スクリプティングガイドに載っている基本的な制御は古籏さんが執筆されていたので、私は主にそれらを組み合わせた応用的なものを書き、またAEには切っても離せないScriptUIも入れることになりました。

構成では本として気になるところはもちろん、After Effectsの解説や用語としておかしい個所を指摘し、案を出したり出してもらったりと直してもらいました。
ブログなどでしか載っていない情報は困りますね・・・。ExtendScript Toolkitとにらめっこしたりと結構大変でした。


しかし一番大変だったのはやはり校正作業でしょうか。
本として世に出す以上で、出来る限り間違った情報を載せないようにするため、ガイドはもちろんAdobeAfter Effectsのブログ、フォーラムと開発者の方のTwitterを常に確認するようにしていました。
事実、執筆中にメジャー級のアップデートがいくつもあり、その度に追加原稿を書いていました。

校正は何回したかは覚えていませんが、1万ページ分は読んでいるはずです。
書いている内に追加したい項目が増え、その分校正も増えという非効率だったなと今なら思います。

執筆段階では上下巻構成ではなく1冊の予定でした。ぎりぎりページ内か、ということでいくつかの要素を削るかもという話も出ていて、計算してみると到底入りきらないということになり、上下巻構成になりました。
私の知らないところで編集の方が頑張ってくれたのではと思います。

上下巻になったことで、入れたい要素をもれなく入れることができました。
今目次を見ても、どれかを削るということは考えられません。
それだけAEのスクリプトが充実しているということでもあります。

書いては校正しを繰り返し、2017年、終わりの見えない作業に思えたものが最終校正となることになりました。
開始から2年ほど、すべての期間で作業していたわけでなく、かなりゆったりとしたペースではあったので、ここから一気に作業が進みました。
2~3月、ついに数回繰り返した最終校正も終わり、4月の発売と相成りました。

作家の話の、本は編集と作るという作業をかなり身近に感じました。
こちらはほぼ原稿執筆と校正ですが、それがリターンとして本の形で返ってくるのが面白かったです。

出来た本を見るとAE愛がなければ完成はしなかったなということ、そしてこの本の執筆を通して、ますますAEに詳しくなったことが嬉しいですね。
しがないAEユーザーの一員でしたが、AEスクリプト本の著者ですと自己紹介できます。


さて、そんなこんなでできたスクリプト本ですが、いくつかポイントをご紹介します。
まず量が多いです。ページ数だけ見ても、1100ページ以上あります。
基本的に本の内容は本用に書かれています。かなり細かくプロパティのアクセスなども書かれているので、わかりやすいかと思います。それぞれ変化のある項目は実行前と後の図を入れて、結果がわかるようになっています。
そして、そのサンプルコードはダウンロードできます。
ダウンロードしてすぐに実行してみることができるので、初心者の方にもおすすめです。
サンプルコートを少しずつ改造してきたりと、各々試してみてください。
もちろん、AE上級者の方にもきっとお役に立てると思います。TranShapeなど実際のスクリプトで使用しているコードをいくつも手入れして収録しています。

ぜひお手に取ってみてください!

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